前編  ひと言


―――ここからは少年時代のお話をうかがっていきます。大野選手、生まれは埼玉なんですね?

「生まれが埼玉で、育ちは群馬です。田舎の、何も知らない子供でしたよ(笑)」

―――子供の頃から運動神経はよかったのですか?

「いや、小学生がピーク(笑)。ここにピークを持ってきちゃった(笑)」

―――あはは。サッカーを始めたのは、どういうきっかけだったんですか?

「小学1年のときに、同じクラスの友達がやっていて・・・サッカーやっていたほうが、そいつといっしょに遊べるな、と思ってやっただけですね」



―――始めたときのポジションは?

「実はキーパーなんすよ。意外と体が大きかったので。でもすぐに違うポジションになりました」

―――小さい頃、よく取り組んでいた練習は覚えていますか?

「とにかく、ボールを強く蹴る練習をやってましたね。それで両足で蹴れるようになりました」

―――その頃からパスを出す面白さに目覚めていた?

「いや、小学生の頃はドリブルしてシュートばっかりしてましたね。だから、中学生ぐらいかな」

―――中学からはもうサッカー一筋?

「いや、そうでもないです。サッカー好きだったんですけど、部活動だったんで、よくズル休みをしてました(苦笑)」

―――えぇっ。何か理由はあったんですか?

「中学のときは走りの練習が多くて・・・面倒くさくて、よくサボってました。先輩には怒られましたけど」

―――Jリーグが開幕したのもそのころだと思うんですけど、それが刺激になったりは?

「開幕した頃は話題になっていたけど、こっちは田舎でしたからね。別に応援するクラブがあるわけでもなくて、『あぁ、始まったんだ』ぐらいでしたよ。そもそもプロになろうと思ってなかったので・・」

―――それが今や、ラモス監督のもとでヴェルディの主将をしているなんて・・・?

「すごいっすよね・・・そう考えると、すごい(笑)」

―――ですよね(笑)。高校卒業後、プロ入りしてますが、この決断の経緯は?

「進路相談がありますよね。大学行くか、就職するかを決めるんですけど、自分はサッカー推薦で大学行こうと思ってたんですよ。でもサッカー部の先生から『お前はプロでいいだろ?』って言われて、『はい』って(苦笑)」

―――えっ?そんなにあっさり?

「その先生が怖かったんですよ。本当は大学に行きたかったんですけど・・返事は『はい』しか許されなかったので、それしか言えなかった(笑)」

 


―――そして柏レイソルへ入団。プロ一年目は大変だったのでは?


「きつかったですね。入る前は自分が一番だと思っていたんですけど、入ってみたらレベルの違いに驚きました。体つきがもう大人と子供。これは3年もたねぇな、と思いました」

―――どうやって克服したんですか?

「クラブではあまり試合に出れなかったんですけど、ワールドユースに出れたのは大きかったですね。同年代の相手なら、そこでも十分やれた。フィジカルも、一年目の終わりに筋トレをはじめて、2年目から少しずつ手ごたえを感じました」

―――それからプロ生活11年が過ぎました。感慨深いものはありますか?

「いやー・・・もう何度辞めようと思ったことか(苦笑)」

―――ははは。どんなとき思いましたか?

「最近は、いつも思ってます(笑)」

―――でも、サッカーの楽しみも増えたのでは?

「いや、減ってます。ここ二年は怪我もあって本当にきつかったし、後ろのポジションになってから、まわりに気を使うことが多くて・・・楽しむ前に疲れてるんですよね。自由にプレーできなくなった」

―――全体のバランスを考えるようになるにつれて、やんちゃなプレーが減った?

「それですね。そういう部分を残し続けている選手の方が、プレーのアイディアは減らないと思うんですよね。やんちゃだった選手が周りを気にし始めてしまうと、いいアイディアを出せなくなってしまう・・・11年やっていて、それだけはわかってきました(苦笑)。来年はそこを取り戻したいですね」


―――
最後に、お聞きしたいと思います。監督のライセンスを修得されてますが、将来の展望として描いているものはありますか?


「将来的には、子供たちにサッカーを教えたいと思っているんですよ。周りの人からは無理だよって言われますけど。ただ僕が今持っているのは一番簡単なライセンスですから」

―――プロよりも子供を教えたい?

「そうです。小学生のときにいい指導者に巡り会って、そこでサッカーの面白さを知ったので、その恩返しをしたいんですよね」

―――なるほど。

「だから、将来サッカーを教えるための勉強の一環として、現役でやってるっていう意味合いもあるんですよ。プロで長くやってるのも、高いレベルでプレーしている経験が、将来教えるときの役に立つだろうと思ってます」



―――もし教え子で、大野選手のような練習をサボってしまう子がいたらどう指導しますか?(笑)

「うーん、その子の自由にさせますね(笑)」

どうもありがとうございました。

いしかわごうのインタビュアーの一言

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