前編  ひと言


――後編は平本選手の少年時代や地元・八王子の思い出話をうかがいます。まずは少年時代の話題から。今振り返ってみて、どんな子供だったと思いますか?

「そりゃもう・・・いつも大人しくて。小さな頃からとても礼儀正しい子でしたね」

――絶対ウソじゃないですか(笑)。例えば、どんな遊びをしてましたか?

「友達と秘密基地作ったり、そこでかくれんぼしたり、捨ててある自転車に乗って原っぱの坂道下ったり、元気に遊んでいましたよ。初めてボールを蹴ったのも、確か幼稚園の年少ですから・・・・4歳ですかね」

――そこからはもうずっとサッカー一筋?

「いや、小学校3年生くらいまではサッカーと野球の両方やってました。しかも僕、野球のほうが才能ありましたから(笑)ピッチャーとかショートやって、もちろん4番バッター。当時は巨人のクロマティに憧れてた!あとは広島カープの正田も好きでしたね」

――クロマティって懐かしいですねー。そこからサッカーを選んだ理由は?

「まわりでサッカーをやっている人が多かったから。あとは単純にサッカーのほうが格好よく見えたんだと思います。子供ですから、そんなもんすよ」

――そしてヴェルディのセレクションを受けたのが、小学3年生だそうですね?

「セレクションを受けた人しかもらえないリュックサックがどうしても欲しくて、それを目当てに。たいしたテストもなく、ただ単にミニゲームやってただけの記憶がありますね。そんなに目立ったプレーもしていないはずです」

――でもけっこうな倍率なんですよね?

「100人受けて、受かったのは2人くらいだと思うんですけど・・」

――すごい・・・!

 

 

――ちなみにそのときって、すでにラモスさんはヴェルディにいたんですよね。初めて見たときの印象って覚えてますか?

「もちろん。それはもう、衝撃が走りましたよね・・・衝撃が(笑)。当時から日本サッカーのスターが集結してましたけど、その中でもラモスさんのインパクトはダントツでした。小さいころって有名人とちょっと話しただけで勝手に友達感覚に思ってしまうじゃないですか?僕もサインもらっただけなのに、調子にのって『俺、ラモスと友達なんだぜー』とか自慢して、まわりからかなりウザがられてました」

――ははは。そこから「サッカー=ヴェルディ」になった?

「いや、実はジュニアユース時代に一回クビになってるんですよ。中1のときなんですけど、いきなり自宅に電話が来て、コーチから『明日から来るのやめろ。月謝の無駄だから』と宣告されて。かなりのショックでしたね」

――その原因は何だったんですか?

「うーん、小学生のときにヴェルディに入って、やっぱりサッカーのことでは学校でも自分がみんなからかなり尊敬されている立場になっていて・・・少し天狗になっていたんですかねぇ。でもサッカーを辞めるつもりはなかったから、学校のサッカー部に入ってみんなと一緒にやりましたけど、どうしても挫折感はありました。適当にやろうかなと思いましたもん」

――どうやって戻ってこれたんですか?

「中学3年のときに、『全国選手権に出て欲しいから、戻って来い』と直接連絡を受けて。ただ自分をクビにしたコーチがいるなら嫌だと言ったら、その人をはずしてくれたんですよ。それで無事に戻れました」

――すごい待遇ですねぇ。高校時代にはいろんなポジションを経験されたそうですが?

「今はフォワードですけど、いろいろやりました。自分のなかでは、サイドバックが面白かったですね。ドリブルがいっぱいできたし、そこからいいセンタリングをあげてアシストが決まると、気持ちいいんです。高校生で2種登録してもらったときもそのポジションでした」

――ちなみに戸川選手や飯尾選手(アビスパ福岡へレンタル移籍中)らとは、昔からずっと一緒にプレーしています。お互いプロ選手になった今、何か感じることはありますか?

「『違和感がない』ということですかね。やっぱりあいつら高校時代からズバ抜けてすごかったですから。プロになるのは自然な流れだったと思ってます」


 

――それでは話題を変えて、今度は地元・八王子の話を。八王子愛あふれる平本選手ですが、ご自身にとってこの街はどういう存在?

「実は自分にとって一番大きい存在が、地元の友達なんですよ。もう幼稚園から高校までずっと一緒なやつらなんで、みんな僕にサッカー選手として接しないし、お互い馬鹿話もできる。そういう仲間と楽しく遊ぶ場所がこの八王子という街ですね」

――相当長い付き合いのようですが、中学や高校のころも一緒に遊んでたんですか?

「そうですね。高校は別々でしたけど、それでもみんなで集まって八王子をウロウロしてました。僕、高校のときもサッカーやってる連中とは遊ばないで、いつも地元の仲間とつるんでたくらいでしたから」

――遊ぶのは、住んでいた南大沢よりも八王子?

「はい。今でこそ大沢付近はそれなりに栄えてますけど、昔は駅もなくて、本当に何もなかったんですよ。スタジオジブリの『平成狸合戦ぽんぽこ』ってアニメがありますけど、あの舞台がうちのすぐ近く。もう本当に山ばっかり。駅も橋本と多摩センターしかなくて、ひたすら自転車で移動してましたもん」

――八王子の街で仲間との思い出の場所はありますか?

「駅前に『我飯(わがまま)』という居酒屋があって、その近くに銅像みたいなのがあるんですけど、そこに集まって長時間たむろっていたのは、よく覚えていますね。座ってくだらない話ばっかりしていました。その周辺はいろんなお店があるんで、今でもそこがみんなの活動拠点です。活動内容はちょっと言えないんですけど(笑)、大人数で集まったときにいったん集合したり、散ったりしやすかったりするんで」

――その活動中の姿をサポーターに目撃されているかも?

「ありますね。もともと八王子はそういうのが多いっすから。ただ『平本じゃね?』と聞かれても、『ちげぇよ!』って絶対言ってます(笑)。だって、『え?平本って、こんなことしてるの?』とか思われたら、すごいイメージダウンじゃないですか」
(一同爆笑)


――どんなマズイことしてるんですか。じゃあ、八王子で見かけた際は、あまり声をかけない方向で?

「はい、お願いします(笑)。八王子にサポーターが今より増えるのはうれしいですけど、自分が自由に行動出来なくなっても困るんで・・・そこはね」

――だそうです、八王子のみなさん(笑)。ではそろそろ時間になったので、最後にサポーターの存在について、平本選手なりに思っていることをお願いします。

「やっぱりずっと応援してくれるサポーターの顔って、覚えてきますよね。もともと、『ありがたいな』という気持ちはずっと持ってましたけど、特に今年はJ2に落ちても応援してくれているわけですから、その思いはより強くなってますし、八王子ももっと盛り上がって欲しいと思ってます」

――どうも有難うございました。

前編  ひと言