顔人が原因で増えた野良猫を、地域で見守っていきたい

第3話  動物と人間の関係を考える

活動を支えるフリーマーケット

―― 運営資金の調達はどうにされているのですか?

基本的にはすべて自費なので、これは辛いところですね。あとはフリーマーケットをやっています。エサ代は節約しても月に3〜4万かかりますし、フリーマーケットの品物やケージ、捕獲器を置いておく場所代もかかります。野良ちゃんは捕まえて手術をしてから、子猫は生まれてから2か月ほど家や事務所で様子を見ますが、その間必要なケージは高いので私たちで貸し出しをしています。どうしても懐かない大人の猫は不妊手術後に放しますが、その後もご飯を食べに来ますから、面倒を見ていてあげます。

活動の拠点となるのが事務所兼倉庫で、これだけはどうしても必要だと考えています。この場所が無ければ猫を引き取ることも出来ません。メンバー間には倉庫を借りるためにフリーマーケットをやっているわけではない、という話もありますが、私は全部がこの協議会のために行っていることだし、どれ一つ取ってもこの会は成り立たないと思っています。私はこの会をどんなに大変でも続けて生きたいのですが、一番の悩みはやはり資金ですね。今後の大きな課題ですね。

フリーマーケットは重要な資金源で月1回、2日間やっていますが、運営は本当に大変です。1回で軽トラック7台分くらいの分量を並べますが、運搬も私一人でやっている期間が長かったですね。特に寒い時期はお手伝いしてくださる方もなかなかいらっしゃいません。一般の方でも時間があるときに1時間でも手伝っていただけたら本当に有り難いのですが。

しかし、7年間やってきたおかげで、かなり一般の人たちの間に浸透しまして、バザー品を提供してくださる方も増えました。これは本当に有り難くて、続けていて良かったと思っています。もう一つ、そんな夢みたいなこと、と言われますが、協議会として何か収入を得ることが出来ないか、と考えています。そうすれば不妊手術をしてくださる一般の方々に、たとえ500円でも千円でも補助金が渡せます。そうしたらもっと多くの方が不妊手術に携わってくれるかな、と思っているんですね。会員さんの中にも、手術したくても出来ない方がおられますし。例えばキャットフードは皆さん野良猫にも買って食べさせているわけですから、メーカーさんに売上の0.01パーセントでも還元していただけたら、もう少し楽になるんじゃないか、ということを考えてみたり、いろいろ試行錯誤しています。私たち自身の収入の道を作っていくことが今後の大きな課題ですね。

八王子駅前放射線道路でのフリーマーケット


八王子駅前放射線道路でのフリーマーケット

人に翻弄されるペットたち

―― ホームページには酷い虐待の事例が掲載されていますね。

協議会の事務所で保護されている猫

ある調査では、小さいときに小動物を虐待した人がその後殺人を犯す確率は48%もあるそうです。そういう見地からの捜査協力をしたこともあります。最近では団地の3階から放り投げられた猫がいて、動物病院に連れて行きました。その猫はあごが砕けてしまって手術もできず、食べられないので、自然治癒するまで点滴を行っていました。幸い今は元気になりましたけれど。猫を投げた人は分かっていますが、証拠写真があるわけではないし、虐待が分っていてもそのままになってしまう例は多いのです。

また、交通事故で足を切断されたワンちゃんを「そういう犬はいりませんから安楽死させてください」と置いていってしまうとか、病気の猫を病院に置き去りにしてしまう飼い主もいます。そういう動物を全部先生がご自分で飼っておられます。他にも、駐車場で車とタイヤ止めに挟まれて、足が棒みたいに麻痺してしまった子猫がいて、その子はおなかを絞らないと排泄もできないので素人では面倒見られなのですが、先生は今まで2年以上世話していらっしゃいました。全然儲からないのに本当に一所懸命やってくださっています。まだお若いのですが、本当に大変だと思いますし有難くて頭が下がります。

でもせっかく手術して治療したのにもうこれ以上飼えないから放してしまう、とおっしゃる方も多いのです。そうしたらもう生きていけないですから、そういう子も私たちが預かって里親探しをします。いじめる方もいますが、そういう子を貰ってくれる有り難い方もたくさんいるのです。


「猫に救われた」という思いを原点に

―― 素朴な質問で恐縮ですが、そこまで一所懸命にやっておられるのは何故なんでしょうか?

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フクちゃんを抱く出井代表
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フリーマーケット会場に活動の成果報告も兼ね募金箱が置かれている。

私もその一人ですが、猫の活動をしている方には、口では言わないけれどいろいろな意味で傷ついている方がたくさんいるんですね、例えば子供の頃の体験とか。私自身、家庭の事情で知人に預けられて育ちまして、生みの親の顔を知りません。今までいろいろな思いをしてきて、やっぱり猫に救われているというか、潤いをそこから貰った、という体験があるんですね。お一人暮らしで猫や犬のおかげで癒されている方はたくさんいらっしゃいます。そういう思いが原点になっている部分も大きいと思います。

私自身は今も仕事をやりながらですし、現在は母の介護がちょっと大変で寝る暇もないくらいです。ですからなかなか思うように活動できなくて、ジレンマを抱えています。でも、じゃあ条件が全部整ったら出来るかというとそういう問題でもないと思うんですね。そういう時期だからこそまた一所懸命出来るかな、という気持ちもあります。やはり情熱ですよね。

しかし現実的に資金は大きな問題です。出来るだけ倹約しながらやってきましたが、7年経った現在、本当に無一文になりました。一緒に資金を出してくださった方も皆さん大変な思いをしながら協力してくださいましたが、そういうお金も皆使ってしまって、正直、今焦っています。やはり最終的に頼るのは寄付になってしまうんですね。でも私はただ寄付をいただくだけではなくて、大変な思いをしてもフリーマーケットを活動の一部として行きたい。そこに必ず相談に見える方や猫が欲しいと言ってくださる方がいらっしゃいます。また、猫ちゃんのために有難う、と言ってくださる方もいます。そういう暖かい気持ちを広める場としても、フリーマーケットもこの会も必要なんだと思います。

―― 今後のご活動、是非頑張ってください。どうも有難うございました。(了)