顔人が原因で増えた野良猫を、地域で見守っていきたい

第2話  地道な活動で徐々に大きな成果が

骨のガンにかかっているフクちゃん。幸せを願って付けられた名前だ。






ねこちゃん協議会ホームページ
(http://www.geocities.jp/
catsconference/)

成果が上がってきた活動

―― これまでの活動実績について教えてください。

今までに不妊手術は686匹、里親は私が連絡をいただいただけでも7年間で482匹が決まりました。その子たちの不妊手術は里親の方がしてくださいます。治療は交通事故や病気で瀕死の重傷だった猫も含めて300を超えたところです。現在までに1500匹近くの猫を手術した計算になります。もうこの猫たちから野良猫が増えることはありません。これは大きな成果だと思っています。

現在、若いメンバーの方がホームページの作成を一所懸命にやってくれていますが、そこに里親探しの猫を掲載しています。事務所に預かって見てもらったり、募集パンフレットをいろいろな場所に貼らせていただいたりして、現在まで子猫は100パーセント、大きな猫でも抱っこの出来る子は皆もらっていただけています。人に慣れていない猫も預かっている間に抱っこが出来るようにします。こうした成果ももう少し上手にPRしていきたいと思っています。

治療した野良ちゃんも、元気になれば貰われていきます。この間嬉しかったのは3本足の子を「こういう子だからこそ面倒見たい」という方が貰ってくださったんです。目が見えない子の里親になってくださった方もいました。私自身もガンの子や傷ついた子を見ています。そういう子はなかなか貰っていただけないですからね。

ホームページは大きな効果がありますね。そちらを見て相談をいただくことも増えてきました。先日はロサンジェルス在住の日本人の方からも相談の連絡をいただきました。北海道や九州からも電話があります。ホームページを見て亡くなった猫にそっくりだ、と岡山から猫を貰いに来て下さった方もいます。もちろん近県からも引き取りにきていただいています。ホームページが野良猫の保護や不妊手術につながれば八王子だけではない広がりになりますから、嬉しいですね。


消極的な八王子行政

―― 八王子の行政の対応はいかがですか?

2000年に活動を始めた当時、都や横浜市磯子区なども地域猫の活動をスタートしたばかりでしたが、八王子市役所は何か資料がないかうかがうと、職員の方から「不妊手術って何ですか?」と逆に聞かれるくらいでした。当時は「NPO」も理解していただけませんでした。八王子市が一般市民の方にいろいろなノウハウを伝達して下さればいいんですが、猫の課は無いですし、「ねこちゃん協議会」の連絡先を市役所への相談者に教えてあげて下さいと言ったんですが、いちボランティアの番号をいちいち教えられない、業務の中に無い、法律で決められていないから出来ない、という対応でした。一時は市からもいろいろご相談をいただいて夢中でやってきましたし、発足以来7年間、八王子市に協力のお願いに行っていましたが、今後は私たちだけでやろうと思っています。

ただ、困っている方は本当にたくさんおられます。イギリスやアメリカでは国が取り組んでいますし、日本でも例えば町田では市が里親探しに市民センターを開放して、毎月広報でも呼びかけています。条例の整備や補助金は後回しでもいいのです。里親探しの場所、フリーマーケットの場所を提供してくださるだけでも助かるのですが。


大切な近隣とのコミュニケーション

―― 近隣のトラブル対処の具体的な例を教えていただきたいのですが。

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ねこちゃん協議会で作成したチラシ(表)
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(裏)

猫をきっかけとした近隣のトラブルが裁判に発展することがあります。私が幸運だったのは、たまたま息子が法律をやっていたことです。裁判までには至らず、話し合いで解決した深刻なケースが今までに4件ほどありますが、法律が分かるものがいなければ難しかったと思います。

よくある「車のボディを野良猫が引っかいて傷つけた、損害賠償しろ」というケースでは、実際にはどの猫がやったのか特定できないことがほとんどです。もしかしたらご近所の飼い猫かもしれないところが、あの家で野良猫にエサをあげていたから、とガーっと怒鳴られて、お年寄りだとついお金を払ってしまう。その後も何度も要求されて、このまま払い続けないとだめなのか、という相談がありました。

この場合、法的には、車を保護するのは所有者の責任になります。野良猫がいることを認識しながら駐車場を借りている、という解釈です。そこで、車体に毛布を敷いてからカバーをかけてください、とお願いしています。ご自宅の駐車場やお庭の場合も、そこを野良猫が通ることが分かれば入口をきちんと塞ぐなどの対策をご自分で講じる必要があります。しかし、法的には猫にエサをあげる側の責任ではないとしても、そういうだけでは人間関係が悪くなるだけですから、それを円滑にしていく努力が大事ですよね。そういう意味で単に猫のことと片付けるのではなく、地域の問題として取り組むことが必要なのです。

―― 猫に関わる活動について近隣の方の理解はいかがですか?

個人で猫の保護や避妊をやっていらっしゃる方もたくさんおられますが、怒鳴られたり、トラブルに巻き込まれたくないので隠れてやる方が多いのです。私の場合は苦情があればこちらからお話をしにうかがいますが、残念なことに聞く耳を持ってくださらない方も多いので、そういう場合には文書を投函して、苦情があったら必ず私に電話をください、とお願いしています。

エサは必ず許可をいただいた場所であげていますが、その場所にチラシを置いて、「捕獲のために餌付けしています」とか、「不妊手術が終わりましたから皆さん可愛がってください」などのメッセージをつけるようにしています。

最初は猫のこともよく分かりませんし、皆さんがどの程度、野良猫について考えておられるかも分からず非常に大変でしたが、7年活動してきて、猫が嫌いな方も、今私が住んでいる町内では大変少なくなりまして、子猫も誰かが捨てていかない限りは見かけなくなりました。猫が嫌だった方からご苦労様です、と声をかけていただくこともたまにあって、有り難いですね。

―― やっぱり理解していただくことがどれだけ大事かということですね。

第3話 「動物と人間の関係を考える」に続く