空間都市『八王子』が協賛する「TOHOシネマズ学生映画祭@南大沢」が、2月22日(木)、南大沢のTOHOシネマズで開催、最終ノミネート11作品の上映と審査を経て、各賞の授与が行われた。

グランプリを受賞したのは川部良太監督の「雨の跡」。中学生少年の不安定な日常を瑞々しく描いた作品は、審査員から「観ていて心がザワザワした」、「この続き、あるいは次の作品が観てみたい」、「あえて分かりやすさを避けた表現が素晴らしかった」「せりふに頼らず物語を紡いでいくという意欲を買った」などの声が集まり、文句なしの受賞だった。
 
 
 
グランプリを受賞した「雨の跡」の一場面
 
 
 
 
 
 


「有難うございます。この作品は初めて脚本を書いて撮った作品です。
この受賞で次の作品を作っていく勇気をいただけました。
多くの友達や親戚、家族を総動員して作ったものなので、
協力していただいた人全員に感謝したいと思います」

 


受賞の喜びを語る川部良太監督
 
 
 
 
 
 
 
早稲田大学4年生・松川将士実行委員長を中心に、すべての運営を学生自身の手で行ったこの映画祭は、「人と、街と、夢とつながる」をテーマに、素晴らしい才能を持ちながら発表機会に恵まれない学生作品を世に出そうと、半年のあいだ懸命の活動を続けた。当初、告知不足などから応募が集まらない状況もあったが、最終的には応募作が119本に達する盛況ぶりとなった。
 
 
懸命の司会ぶりにも拍手が
 
 

当日はたどたどしさが残る司会進行で場内の空気を和ませた一方、会場審査に携帯電話を取り入れ即時に賞を決定するなどの斬新さもあり、学生らしさが全面に出た進行となった。市長の代理として来場した八王子市教育委員会・教育長 石川 和昭 氏は挨拶で、本映画祭で地域の文化振興に大きな役割を果たして欲しい、との期待を込めて話した。
 
八王子市教育長・石川氏 松川実行委員長
 
 
 
 
 

審査に当たったのは、新しい映画制作の才能に対する期待の大きさを物語る錚々たる面々で、STUDIO4℃エグゼクティヴディレクター・田中栄子さん、作曲編曲家・周防義和さん、アスミック・エース エンタテインメント常務執行役・竹内伸治さん、キネマ旬報取締役編集長・関口裕子さん、実写版「鉄人28号」、「天使の卵」の監督・富樫森さん。この5人の目利きにTOHOシネマズから2人が加わり、作品のクオリティはもちろん、制作、興行、配給や作品監督の将来性までも見据えた幅広い視点から審査をおこない、各賞を決定した。
 
 
準グランプリ「PRESENT」
 

審査員:上段左から
田中栄子さん、周防義和さん、竹内伸治さん

下段左から
関口裕子さん、富樫森さん

 
 
 

準グランプリ選びは難航し当初1つの予定が2作品となったが、翠緯 泰 監督「PRESENT」、大野 佐登留 監督「久美子と由美子」が選ばれた。「空間都市『八王子』賞」は西本Aチーム 監督「黄色のまぼろし」に。

準グランプリの「PRESENT」はクレイアニメの労作で、ありがちなクリスマス・ストーリーにもう一工夫欲しいという声もあったが、学生とは思えない卓越した技術力と完成度の高さに賞賛が集まった。
もう一つの準グランプリ「久美子と由美子」は男性をめぐる女ストーカー2人の口げんかというテーマを、観客をひきずりまわす圧倒的なエンターテインメント性をもって描き、高評価を得た。

 
     
 
空間都市「八王子」賞の「黄色のまぼろし」はコマ撮りの気が遠くなる作業を経た実写アニメ。携帯電話での観客直接投票でもっとも支持を集めた観客大賞には「久美子と由美子」が、次点の観客準大賞には「PRESENT」が選ばれた。賞金はグランプリが50万円、準グランプリは2作品で分けたためそれぞれ15万円、空間都市「八王子」賞は10万円だった。
空間都市「八王子」賞「黄色のまぼろし」
準グランプリ「久美子と由美子」
 
 
       
 
 
 
 


最終ノミネート作品は、オーソドックスな映像表現からCGの使用、捻った視点、多様なアニメーション表現など、学生らしい自由な発想と表現のユニークさが目立ったが、全体のクオリティの高さは経験豊富な審査員も賞賛するものだった。結果的には15分という時間をワンアイデアでやってしまうか、その中で表現できる内容を深く考えて表現に反映させるかで作品の質が変わり、その点が評価を分けるポイントとなったようだ。

冠協賛のTOHOシネマズとしては、今後もより多くの学生が参加できるイベントとして開催をサポートしていきたい考え、とのこと。学生による運営、地元との協賛、地元映画館での開催といった点が地域文化振興の視点からもユニークだったこの映画祭の成功は、関わった学生一人ひとりにとっても大きな経験の場となったのではないだろうか。
 
     
 
 
「ジローの災難」
竹林 亮監督
   

「AROUND THE CLOCK」
山口 翔監督
 


「シワの数だけ自を隠す」
原 智弘監督

 


「夢みるロボット」
近藤 真里菜監督

 
   
 


「kinkiri」
加藤 マニ監督

   


{はりねずみ」
野間 貴久子監督

 

 


「クローン戦隊 セイムレンジャー」
西野 陽平監督

 
   
     
       
       
今後の活躍が期待される学生監督たち