八王子消防署でいろいろ聞きました!

お話 : 東京消防庁八王子消防署 予防課指導調査係主任
     消防司令補 溝呂木 豊 さん
インタビュー・構成/空間都市「八王子」編集部

八王子消防署の歴史と特徴


――よろしくお願いします。まず八王子消防署の歴史と特徴についてうかがえますか?


八王子消防署は昭和18年10月25日、八王子市の所管で本町に開設しました。市町村レベルでの消防署は全国で初めてでした。当初は八王子市だけではなく、日野、浅川、町田を含む地域をカバーしていました。




昭和23年の消防組織法施行から組織が変わり、八王子市消防本部が設置されました。同じころに日野、町田、浅川出張所が分離独立しそれぞれ消防署となりました。その後いくつかの出張所を開設しつつ、31年に現在の大横町に本署を移転、34年には浅川町が八王子市と合併し、35年からは消防事務(消防団と水利業務を除く)が市から東京都に委託され、東京消防庁の所管となり現在に至っています。

特徴を挙げるとすれば、まず八王子消防署は現在の東京消防庁80署の中でも人員、車両、災害ともに一番多い、ということです。また、他の道府県だと分署が結構ありますが、東京都の東京消防庁には3つしかなく、それが有明分署、空港分署と八王子の由木分署です。由木分署は去年の4月1日から運用を開始しました。

――管轄地域も一番広いのですか?

ええ。たとえば23区内ですとほとんどの区に署が複数ありますが、八王子消防署は1署で八王子市内全域ですから、面積的には区よりずっと大きいですし、人口も一番大きな消防署と言えます。

また、八王子市には山がありますから、都心部では絶対にあり得ない山の火災、救助があります。そのための車両や特別な資格を持った職員が配置になっています。例えば山岳救助隊もありますし、高尾山に近い浅川出張所には消防活動2輪車(オートバイ)が東京都全体で20台のうち2台が配置になっています。山に入ることも想定して、オフロードタイプのバイクです。


活動2輪はもちろん23区にもありますが、大きな車両が通りづらい小さな道でも入って行けて、いち早く現場についてできるだけ初期のうちに消火や救助をする形を取っています。インパルスという空気圧を利用した大砲状の消火器や救急バッグを装備して消火・救助に当たれるようになっています。

山の火災は山林火災とか林野火災と言いますが、ここ4、5年ずっと続いています。たまたま去年は1件だけでしたが、その前は20件前後が起きています。原因は特に火の不始末とは特定できないのですが、通常山の中に火の元があるわけは無いです。

――乾燥した時期に木が風で擦れて自然発火するケースもあるそうですが?

確かに雑木の場合は擦れて発火することもあるようですが、八王子近辺では植林された杉やヒノキなどのまっすぐな木が多く、きちんと枝打ちされていますので、擦れて発火することは考えにくいのです。ただ火災が大きくなりにくいのも、木の下が手入れされているおかげで落ち葉が燃え広がる程度で済んでいるからです。大きな山火事になるのは手入れされていない森林です。雑木を伝って火が立ち木に燃え移るのですが、そうなると手の打ちようがなくなってしまうのです。

どうする?携帯電話からの通報

――火災発見時の通報の仕方についてうかがいます。携帯電話が非常に普及して、携帯からの通報を受信するところと実際の消防の管轄がズレていて、連絡がスムーズではない、という話も聞きます。具体的にどういう形で通報すればいいのでしょうか。

普通の加入電話からの通報の場合は、発信地情報が出ますので、住所を言えない場合でも通報電話の住所に向かうことができます。ところが携帯は発信地情報が出ませんので、場所が特定できず、また、受けるアンテナによって隣接する管轄のどちらに行くか分かりません。例えば八王子と相模原市、町田市など県とか地区をまたいだ場合は、実際の管轄とは違う消防本部にかかってしまうことがあります。そこで火災の受付をしてから転送されるため若干の時間がかかる、ということはあります。ただ、電話された時にどこの住所か、八王子なら八王子市とはっきり言っていただければ、すぐに転送してもらえますので問題ありません。


――通報者が今どこにいて、どこの火事だ、と明確に伝えればいいのですね?

その点を明確にしてもらえれば大丈夫です。山の中ですと場所の特定は難しいですが、山はだいたい尾根が境になっていますから、その尾根の南側なのか北側なのかを言っていただければ分かりますし、市街地でしたら住居表示を見ていただいて、ここは町田です、相模原です、と言っていただければなおよろしいかと思います。ただ、普通に通報しても届かないわけではなくて、いったん経由してしまうので、ちょっと時間がかかる、ということです。

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