シリーズ「食」和食編
一番美味しい季節の素材を、一番美味しく味わう和食の楽しみ。
和食編














大川 秀夫さん(八王子魚亭 店主)和食。日本人には当然一番馴染みの深い料理である。昨今、冷凍技術や肥料、輸送の発達で、季節に関係なく色々な素材が一年中手に入ると言う、便利な反面、四季折々の自然に育てられた本当の味を持った魚や野菜は手に入りにくくなっている。
日本の四季、和の季節を味わいながら一番美味しい時期に素材を味わう和食の楽しみ方を魚亭さんのコース料理を通して、大川さんにお話をお聞きしました。


1. 季節を味わう和食
2. 場所で味わう和食
3. お酒で味わう和食
4. 和食の作法
5. 魚亭さんのコース料理を通して
先付け 夏野菜と揚げアナゴ 季節の八寸
酢の物 お刺身 揚げ物
炊きあわせ おうどん スズキと野菜の和え物
デザート    



季節を味わう和食

和食の楽しみはやはり季節の味。
四季と言う大きな分類ではなく、今の時期しか食べられないものがあります。
夏でも例えば初夏、中夏、最後に終わりの夏、それから今度はもう秋。初秋、中秋と変わって行く中で数々の食材が味を変えていきます。その中で食材を一番美味しい形で味わう事が和食の楽しみです。

例えば私の場合、今年のように、太陽の日差しが強ければ、お野菜によっては味が変わるのが早い物もあります。そのような時に、調理法を考えたりと、その食材を追求したりはいたしません。
味が少し変わったのがわかれば、他の今一番美味しい状態の食材に切り替えればいいのです。暑ければ暑い時に、力を出すお野菜もあるのです。

和食の特徴は、素材の持ち味を際限なく生かすということです。
和の季節を大切にし、季節の食材にこだわる事が和食の美味しさなのです。



場所で味わう和食

食事をするのに、場所と言う空間はとても大切です。
空間をコーディネートする事も、大切なお店の仕事と考えています。

当店の場合は、地下ですから天井の高さが決まっております。
ですので圧迫感を排除するため、個室のテーブルと椅子の高さを最小限落としてみました。
圧迫感なく時間を過ごすことが大切で、テーブルと椅子は好まれる方が多いと思ったからです。

このテーブルの部屋の他に、広いお部屋も奥にはあります。
そこは、ここより広いお部屋なので宴会で使われる方が多くなっており、皆さん宴会中は席を動かれる。なので、座布団と座椅子になっています。 

お食事中、お食事後に楽しめ、落ち着かれる場所を提供する事も、お店の仕事です。


お酒で味わう和食

和食と一番合うお酒はやはり日本酒です。
日本酒はもともと古くから和食と共に根付いており、お米から作っております。
日本酒に合わせての料理、料理に合わせての日本酒と、それをもう、脈々ときていますので、合わないはずがありません。お互いが味を引き立てます。

ただ日本酒といっても、色々な種類がございます。
当店の場合は、お出しするお料理に一番合ったお酒を選んで、酸化が無いように必要数だけを置いておりますが、何種類から選ぶ場合、お店の方にご相談してみてはいかがですか。



和食の作法

作法と言うものは、非常に難しいお話です。
すごい老舗であれば、それなりのしきたりや作法もあるかと思いますが、当店を例に話すと、堅苦しい事は抜きにして楽しんで美味しく食べて頂くことが一番だと思っています。しかし、騒いだり自分だけが楽しくて他に迷惑をかける事は、当然やってはいけません。

また、『食べ散らかす』と言う行為も良くありません。
『食べ散らかす』とは、お皿のものを全部食べずに、全て少しずつつまんで散らかす事ですね。

食材とは生きた物を頂いております。そしてその生をいただき、私達が生きているのです。
食べないのであれば、最初からちょっと摘んで、これ口に合わないですと言うことで残されればいいことであって、どれも少しずつ摘んで、おなか一杯になっちゃうから…とかは、礼儀として良くはありません。

食べ物に対する礼儀は、とても大切な作法の一つなのです。